CPはキュリオスとアレルヤと緑の(ryで三角関係。
キュリオスが好きだ!ということで以下がSSです。
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そ、とガラスの壁に指先を滑らせる。
本当なら、いつもあの子の傍にいたい、触れていたい。切なく沈んでいく想いを、決して理解しないパートナーを見つめながら、アレルヤは小さく吐息を零した。
今まで与えられたどの機体よりも強く、それゆえに美しい。バーミリオンの色彩を与えられたすべらかな装甲は金にも近い鮮やかさで光を弾く。そらを裂くための、すらりと流れるようなラインは時折鋭くアレルヤの感覚さえ抉る。けれど、それが自分に与えられた力なのだと思うほどに、不思議と込み上げてくる感情はかなしさやさみしさに似ている。泣き出す前のように、ゆるりと目を細めた。
「またガンダムか」
ひくりと、身を竦ませる。急に耳元に落ちてくる低い声は、アレルヤの見つめるさらに奥側に横たわる、暗い海色の機体の主のものだ。振り向く前には抱きすくめられる、温かな腕は逃れることを許さない優しさで、アレルヤを迷わせる。
「でも、好き、だから」
確かめるようにたどたどしく、告げるために動く唇を、そしてやわらかく眉を下げて目を伏せる表情を、すべて映すガラス窓を眺めながら、ロックオンは何を言うのでもなく、おとなしく腕の中におさまる、アレルヤのきれいな黒髪を指先で弄ぶ。
視界の隅では、きりりとアレルヤの手が空間を隔てるガラス壁に爪を立てていた。俯いて、上目遣いで、見つめるのはずっと無機質な兵器だというのに。その様はまるで本当に見知らぬ誰かに想いを寄せているかのようで。
しかしな、と前置いて、ロックオンはアレルヤに語りかける。
「あんまり、道具に拘り過ぎるなよ」
「道具、ですか」
「俺はな、ガンダムやハロを気に入ってる。でもそれだけだ―――、分かるな、アレルヤ」
「ええ、」
「言うなよ、俺の言いたいこともおまえは知ってる」
断じてしまえば早いのに、わざと甘やかす台詞を選ぶ。
その代わりに、同じガラス窓を眺めながら視線すらかち合わないもどかしさも知らずにいつまでも遠い場所を眺める双眸をひろいてのひらで覆った。
あ、と彷徨うように声が零れて、ほんのひととき求める指先から力が抜けた。引き剥がすように、やわらかく腕に力を込める。
「ごめん、なさい」
「どうして?」
「僕は、とてもずるいから」
「―――充分だ。泣くなよ、いい子だから」
く、と息を詰めて堪えようとすればするほど、瞼に触れた大きなてのひらは冷たい雫で濡れていく。このかなしみが、自分に向けられているものならば何を失ってでも、ロックオンは想いに応えようとするだろう。けれど、今のアレルヤの感情を受け止めることができるのは自分ではない。愛している、と逃れられない罪悪感をその言葉に掏り代えても、傷つくのは彼自身ばかりなのに、誰にも頼ろうとしないアレルヤは決して彼を想わない、冷たいばかりの合金の塊へといとしさを募らせるなんて。
ばかげている、ともあらわしがたい感情が自身にあることを知るロックオンはただ、朝日色の機体に静かな一瞥をやったのだけれど。
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